
由宇(ゆう)地方では,大きな蛙(カエル)のことを「ひき」という。由宇町峇清(ごうせい)の由宇川河畔に蛙岩(ひきいわ)と名付けられた大きな岩(長さ6.0m / 幅2.8m / 高さ1.5m,写真中央)がある。左岸からこの岩を眺めると,座った蛙の後ろ姿に見え,その愛らしさに思わず笑みがもれる。まさに大自然の造形美である。蛙岩周辺は蛙岩河川公園として整備され,訪れる人も多い。
蛙岩付近の由宇川沿いには,領家新期花崗岩に属する木部(きべ)花崗岩(約8700万年前;東元ほか,1983)がところどころに露出している。蛙岩の周囲の花崗岩は白-肌色のカリ長石の斑晶が目立つ,斑状の黒雲母花崗岩である。
ところが,蛙岩は花崗岩の1種であるモンゾニ岩からできている。このモンゾニ岩は,ピンク色(ときに濃ピンク色)に変質した斜長石,白色のカリ長石および黒雲母を主成分鉱物としている。鏡下では,破断や局所的な細粒化が認められ,また,かなりの量の方解石が結晶粒間に生じているのが観察される。
したがって,このモンゾニ岩は弱いカタクラシス(破砕)と熱水変質を受けており,斜長石のピンク色化はこの熱水変質と風化の重複に起因すると推察される。ピンク色に変質した斜長石と軽微なカタクラシスは周囲の黒雲母花崗岩でも認められる。これらの岩石には,丸みを帯びた暗色包有物がしばしば観察される。
岩国市由宇町峇清
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山口太郎,「タイトル」,山口地学会ホームページ,山口ジオフォトツアー(最終更新日)